そして今はこの状況だ。
「でも………ほんとに上手かったな」
優衣のつぶやきに、美羽は心の中で拍手を送った。
瀬田がピアノを弾いている時だけ、そこに光がさしたようだった。
黒いピアノは空の色を少し反射して神々しい。
メロディーまでに心を入れれる瀬田の腕前には恐れ入った。
同じ曲なのにどうしてここまで違うんだろう?
美羽は疑問に思ったが、すぐに答えは出た。
音楽に関する心持が違ったからだ。
真剣に音楽に取り組むものの思いは、楽器にまで伝わったということに違いない、と美羽は解釈している。
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