「瀬田ぁ!お前すごいな!あの迷音黙らせちまうなんて!」


「………痛い」


瀬田は数人の男子と女子に囲まれ小突かれていた。


肩を無理やり組まれ引き寄せられている瀬田は無表情で、痛いを連呼していた。


その様子がおかしくて、優衣と美羽は顔を見合せて笑いあった。


彼のピアノは日笠と比べ物にならないほどうまかった。


日笠よりよっぽど先生らしい。


プロにでも通用しそうなレベルを間近で見せつけられた日笠は、今日の空以上の顔の青さで退室していった。


『まだ授業中………』


まじめな瀬田をきっとにらみつけ


『気分が悪いんです!あとは勝手にしていなさい!』


と、逃げるようにドアを閉めた。