何と言えばいいのかわからない歌声だった。
「………綺麗」
美羽は思わずつぶやいた。
安定した声が歌詞に命を吹き込んでいくよう。
故郷を思うような声音に涙もろい生徒が鼻を鳴らしたほどだ。
日笠は最初の威勢をなくし、引っ張っていってやろうと考えていた指先が、逆に瀬田の歌声に家臣のようについていっていた。
静かに響く歌声。
それは会話した時とは違う優雅な音色だった。
楽器のような音色を放つ彼の喉は、ピタリと止んだ時、美羽の瞳からこぼれおちる涙も止まっていた。
先ほどとは違った沈黙が通る。
想像以上のレベルに声が出ないように。


