「………だめです!」 最後まで歌い終わった美羽に対しての賛美はそれだった。 いらだったようにでたらめな弦を叩き、日笠は唾を吐き散らしながらわめく。 「声が小さすぎる!私のピアノより小さいではありませんか!」 「だって」 あんたの弾く力が強すぎるだけでは? 「だってじゃない!」 反論を最後まで言わせてもらえず、美羽は体を小さくした。 「もう一回初めからです!」 「え………」 「せえの!」 問答無用でまた同じ曲が始まった。 今度も音を外して。