しぶしぶ教科書を鷲掴み、前に移動する。 クラスメイトの不安と同情の視線が注がれた気がした。 1番先に歌うというのは結構勇気がいる行為だ。 それをわかってて日笠は抜擢したのだろう。 私、なんかしたっけ………と、考えながら日笠の前に立つ。 美羽を1睨みし、日笠は迷音というあだ名の由来のピアノを弾いた。 1発目から音を外しても、知らん顔で前奏に入った。 中学生並みの腕前をたっぷり披露し、曲は前奏を終えた。 美羽はすぅと大きく息を吸い、ぼそぼそと歌った。