こんな時間に何をしているのかな、と再び窓を全開にして、身を乗り出す。
瀬田は大樹にもたれかかったまま微動だにしない。
いつも見開かれている大きなひとみは今は閉じられ、ヘッドフォンで後ろへなでつけられている髪がカーテンと同じ風で揺れる。
腕を、たてた片ひざに乗せ、もう一本の足を投げ出している姿は彫像のように美しい。
目が離せなくなった。
彼はいつもああして詩を作っているのか。
自然を身で感じ、思い浮かんだままに文字とする。
目をつぶっているのは目に入ってくる情報を遮断し、感じるがままに感じているのか。
そうだとしたらなんてすごいんだろう。
美羽が自分との核の差を見せつけられていると、瀬田がふいに瞳孔を開き上を見た。
「あ………」
目があった。


