「ねぇ小淵君。あなたこの辺で育ったんだよね?」 「えぇ、そうですけど?」 小淵は不思議そうにこちらを見た。 「サエキさんてお爺さん、知らない?」 小淵はうーん、と考えこんで、記憶の糸をたどっている。 「茶色い帽子を被ってらしたわ。」 そう付け足すと、ハッとした様子の小淵。 「佐伯さんですね! 知ってますよ!!」 「ほんと!? 今どうしてるのかしら?」 小淵は 少し顔を曇らせた。