すれ違うたびに、沙希は話しかけようとして止める。 何が言いたいかなんて、到底俺には分からない。 沙希はあの、三日前から… 何かを言いかけて、止めて。 悲しい顔をして、俺に背中を向ける。 いつもいつも、『ごめん。』って言う。 俺にも、限界ってのがあるんだよ。 沙希とまともに話せないのが、こんなに効いてるって知らないんだろう? 好きだよなんて、言えない。 簡単には、言えないし。 でも、愛情表現はしたい。 …伝えたい。 なんて、幼稚なんだろう。