「そして、私は鍵を掛けてバーを出ました」

今度は河合亜美が真由美に説明を始めた。

「駅方面にいくと、山崎さんが鞄を持って向こうから歩いてきました。二人で少し話した結果、田中を見に行くことにしました。死んでるかもしれないので」

「犯人は現場に戻るという、ドラマによくあるパターンね」

と火サス好きの真由美が言う。

「はい。しかし、そこには誰もいませんでした。その後、田中がどこに行ったのか分かりません。朝の五時に死ぬまで田中がどこに行っていたか、不明です」

「ドラマでよくある空白の時間ね」

と真由美が言う。

「はい。ただ、田中は一時前に襲われ山崎さんに七百万パクられた後、五月に連絡していません。これがおかしいとこです。今、お渡しした二百万の出所の説明は以上です」

「よくわかりました。二百万円、ありがとうございます」