「もしもし、河合さん?」

『河合さんって聞かなくても、分かるでしょう。他に誰がいてる?』

「いや、“河合さん”って付けた方が誰に話しているか、読者のみなさんが分かりやすいかなと思って…」

『確かに、読者様に分かりやすく書くことは、大切だけど、そこは文章力でなんとかしろよ』



山崎
「こんな感じですか?」


河合
『なんでや。文の中でうまく表せよ。括弧の前に名前を持ってくるな。そんなんだから、読者数減るんだ』

「……。そんなことより、今、田中から七百万奪ったんですけど…………」

『ふゅー♪』

河合は口笛をふいた。

「褒め方が古いんですけど?」

『今、客いないから、そちらに行くわ』

「客って。“お客様”と言いましょう」

『はい。お客様いないから、そちらに行くわ』