山崎生徒は自分の活躍を引き続き語る。

「一人の中年男が突然、田中の前に出てきたんです。何か、もめていました。周りには、田中と中年男の他に誰もいません。私が遠くで、見ているだけです」

「それで? それで?」

真由美も興味をもってきた。

「中年男は酔っている田中を数発殴りました。そのまま殺しそうな雰囲気だったんですが、離れた場所にいる私に気付いたんです。すると、すぐに中年男は逃げていきました。田中はうずくまって起き上がれません。その隙に、私は七百万の入った鞄を奪ったのです」

「わるいやっちゃなあー」と真由美が言う。二百万は既に自分のバックに入れている。

「もう少し続きます。私は周りを見回しましたが、誰もいません。うまくいったのです。とりあえず、私はその場を離れました。田中は放置しました。そして、河合さんに電話したんです」