「私がバーのある『よるビル』に着いたとき、ちょうど三人が喫茶店から出てくるとこでした。田中だけが、一人駅前方面に歩いていきました。喫茶店でお金を分けた直後だったのです。田中は手には大事そうに鞄を持っていましたが、千鳥足でした。少し歩いては、道端に座って休み、また少し歩いてはまた座り込みと、典型的な酔っ払いだたんです」
「だたんです?」
「だたんです。それで、私は鞄の中に七百万円あることを河合さんに聞いて知っていたので、チャンスを見計らって引ったくろうと考えました」
「話が長いなあ…」
「…。もうちょっと聞いてくださいよ。おもしろくなってきたって言ってましたよね?」
「はいー」
「それで、私は田中をつけました。すると、深夜一時前に、引ったくりチャンスがきました」
「アタックチャンス!」と河合が言う。
「はい! チャンスがきたんです。もうちょいで終わるから、我慢して聞いてくださいね」
「うん。聞く。おもしろくなってきた」
「だたんです?」
「だたんです。それで、私は鞄の中に七百万円あることを河合さんに聞いて知っていたので、チャンスを見計らって引ったくろうと考えました」
「話が長いなあ…」
「…。もうちょっと聞いてくださいよ。おもしろくなってきたって言ってましたよね?」
「はいー」
「それで、私は田中をつけました。すると、深夜一時前に、引ったくりチャンスがきました」
「アタックチャンス!」と河合が言う。
「はい! チャンスがきたんです。もうちょいで終わるから、我慢して聞いてくださいね」
「うん。聞く。おもしろくなってきた」



