受話器をおくと、カワイサツキは、山崎のいるカウンターに戻ってきた。

山崎が聞いたところ、カワイサツキの本名は河合亜美とのことである。

はじめ、山崎はカワイサツキと会うのが少し嫌であった。

それは、『私の彼氏』の中に登場するカワイサツキを相当綺麗な女と設定していたからである。

しかし、実際はそんな美人が出てくることはないだろう。

もしかしたら、オッサンみたいなのが出てくるかもしれない。

今までつくりあげてきた綺麗なカワイサツキのイメージが崩れるのが、嫌だったのである。

しかし、会ってみると色気漂ういい女であった。

真由美も三十三歳で綺麗だか、同い年の亜美もそれに負けず劣らずである。

こういう風に歳をかさねたいものだ、と山崎は思った。