「まず、結論から言います。ご主人は、事故ではなく、殺された可能性が非常に高いです」

山崎は、真由美を見ずに、そう言った。

「続けてちょうだい」

真由美は内心驚いたが、まず根拠を聞こうとした。

「43ページのタイムカードの話で、おかしいな、と思いました。なぜ、オーナーがタイムカードをおす必要があるのかと…」

「でも、それは同じ時間を一緒に過ごした証を残したいからじゃないの?」

「いえ、それはオーナーがこじつけたんでしょう」

「確かに、おかしいわね。なぜ、そんなことをしたのかしら?」

「アリバイでしょう。ご主人が亡くなった時、バーの中にいた、ということにしたかったんじゃないでしょうか。もちろん、オーナーならタイムカードの調整ぐらいできるわけですから、殺害時間にはバーにいたように、後で訂正したんです。信じきっているカワイサツキも、もし刑事に聞かれても、一緒にいた、と証言するでしょう」