山崎生徒は河合亜美と五月義隆を殺害した人物を特定する方法を語り出した。

「カワイサツキの名前で『私の彼氏』の連載を開始するのです」

「なんで?」

「河合さんと五月を殺害したということは、先生のご主人殺害にも関与している可能性が非常に高いです」

「そりゃ、まあ、そうかな。でも、健介を殺したのは五月、田中、秋山。生き残っているのは秋山だけよ」

「そうです。秋山が河合さんと五月を殺した犯人である可能性が極めて高いのです。しかし、他にもいるかもしれません。一連の殺人事件に関与している人物が…」

「その人物を特定するのに、なぜ『私の彼氏』を連載する必要があるの?」

「犯人は『ワタカレ』を読んでいたはずです。五月は『ワタカレ』の存在を知っていたわけですから、聞かされていたでしょう。あるいは、五月に教えた人物かもしれません。いずれにしても、『ワタカレ』を知っているはずです」

「まあ、連載を再開したら読むでしょうね」

「読んでくれなきゃ、この作戦は失敗です。しかし、そこに賭けるしかないです。私が真犯人をおびき寄せるよう『ワタカレ』を執筆します」

「死んだはずのカワイサツキが連載を開始するんだから、ビビるでしょうね」

「はい。ホラーの世界ですな」