私の彼氏

叫んだ甲斐があって、誰かが来てくれた。

「どうしました!? 大丈夫ですか?」

中年の男性である。

「助けてください」

「な、なんだチミは?」

その男は五月にむかって、そう言った。

「なんだチミはってか?

そうです。

私は変なオジサンではなく、こいつの彼氏だよ」

「違うわ。別れたのよ。助けてください!お願いします」

中年男に頼み込む。

中年男は頷いた。

「あんた、五月さんか?」

「そうだが…。お前、どっかで見たことある顔だな…」

「会ったのは始めてたが、DVDなんかでは僕の顔を見たことがあるんじゃないのか?」

そう言うと、中年男はポケットからナイフを取り出した。

「お、お前は佐竹…。そうか、田中を殺ったのもお前だったのか?」

「知らないね。僕は悲鳴を聞いたから、この店に来た。そして、女性が襲われていたから、助けようとした。しかし、あなたが僕を殺そうとしたから、僕は正当防衛であなたを刺し殺した。ということになるんですよ。彼女も僕に話をあわせてくれるでしょう?」

河合はコクリと頷いた。