ヒーロー

軽いアップと打ち込みを10分ほど一緒にやって、僕らは待ちきれないかのように対峙した。



「よし、やっか!」


「成宮高のキャプテンなんかに勝てないよ…」




「やる気まんまんのクセに」


「…ハハハ。やっぱ分かる?」



冷え込む11月の深夜だが、軽いアップでも身体はびっくりするくらいに熱い。



久しぶりのケントとの対戦に、身体がうずく。



不敵に笑うケントを見てると、自然に闘志が沸き上がる。



ぶるっと武者震いを一回。



身体のスペックはともかく、畳の上で対峙するとどんな相手にも負けたくなくなるのは僕の悪い癖だ。



「容赦しないからな」



「容赦されたら逆に傷付くよ。じゃ、お願いしまぁす!」


「しゃ!お願いします!」



深々と互いに礼をして、



僕らの闘いが始まった。