グゥアー…クゥ…
どこからかイビキが聞こえてくる。
誰かいるのか…。
人と関わりを持ちたくなかった望夢にとっては、厄介なやつだ。
はぁ…めんどくせぇ
そう思い、屋上を去ろうとした時…、
「なぁ!!」
声のした方へ顔を向けると、さっきまで寝ていたと思われる男がこちらを見てあぐらをかいている。
制服を着ていない…。部外者か?
「アンタ…名前は?」
望夢は男を睨み付ける。
「そう怒んなって…(^_^;)俺は藤井柊(フジイシュウ)」
『部外者は立ち入り禁止なんですけど』
依然、望夢は藤井柊と名乗った男を睨み続けている。
「部外者じゃねーよ。一応ここの卒業生♪」
『あっそ』
素っ気なく返事をして、その場から立ち去ろうとした。
が、男がそれを許さなかった。
「で、君の名前は?」
『………織田望夢』
しつこく聞いてくるので仕方なく望夢は答えた。
後にこの男、藤井柊が望夢の人生を変えようとはこの時はまだ誰も知る由もなかった…。
