佐野との電話を切り、引き出しの中に大切にしまっておいた茶封筒を取り出した。一馬からの手紙だった。
佐野から言われた言葉が、頭から離れなかった。
《一馬が悲しむぞ》
一馬が、今、望んでいる事…
願っている事…
それは、アタシが幸せになる事…。
アタシが一馬の分まで幸せに生きること…。
この手紙を受け取ってから早、1ヶ月が経とうとしていた。
ふと、茶封筒に目をやると、小さな膨らみがあった。
何だろうと封筒を手に取り、中を出してみた。そこには、指輪の付いた可愛らしいネックレスがあった。
指輪には、〈NOZOMU x KAZUMA〉と彫ってあった。
ネックレスチェーンにはピラピラと付箋が付いていた。
《俺からの誕生日プレゼント。大切にしろよ! 一馬》
とヘっタクソな字で書いてあった。
ネックレスを大切にスカジャンのポケットに入れ、その日は眠りに就いた。
