「それじゃ、織原の席は…。阿部の隣が空いて――――」




京香は美樹を見ると、美樹の方へ歩いていく。




窓側一番後ろの美樹は教科書を立たせてノートパソコンを隠していた。







『どんな女より、俺は妹のお前が好きだ。』




パソコンに映る男キャラが言う。





「なんでゲームだとうまくいくのに、お兄ちゃんは攻略できないんだろ…。」




誰にも聞こえないような声で美樹が呟く。






「このゲームが簡単なだけかな?」





机の中からゲームのパッケージを出す。タイトル『お兄ちゃんを守れ!』主人公は妹となり、兄を他の女キャラから守るゲームである。選択肢を間違えると、女キャラに兄を取られてゲームオーバー。ちなみにアダルトゲームです。






「別のゲームも試して―――」




バンッとノートパソコンが閉じられる。








「阿部ぇ…。ホームルームにパソコンは必要か?しかも、高校1年生がアダルトゲームなんかしてんじゃねぇ〜!!」




美樹の頭に制裁の拳を落とす京香。






「出席取るぞ〜。」




京香は美樹のパソコンを没収して出席を取り始めた。




………………………。





……………。





……。





4限目終了のチャイムが鳴り、昼休憩の始まりを告げる。