「出席は後だ。今日はうちのクラスに転校生が来た。入ってこい!」
転校生という言葉を聞いて、生徒達はざわつく。
ガラリと教室のドアが開き、沙羅が入ってくる。
「よし、自己紹介してみろ。」
「はい。」
京香に頷き、沙羅は自分の名前を書こうとチョークを手に持つ。
「(あれ?ちょっと待てよ…。普通に自己紹介していいのか?ここは北部最強と名高い龍堂学園、初めが肝心なんじゃね?ってことは、ナメられないような自己紹介をしなけりゃいけねぇ…。)」
沙羅は小さく頷いて、チョークの側面で名前を大きく書く。
「私の名前は織原沙羅!ケンカ上等、不意打ち歓迎、死にたいヤツはかかってきやがれ!!世露死苦!!!」
右手中指を立てて叫ぶ沙羅。
『………………。』
世界が止まったかのような静寂が訪れる。
そのとき男子生徒達はこう思っていた、「ああ、ヤンキーじゃなければ…。」「めっちゃ可愛い…けどヤンキー。」「攻略拒否。」などと。
「(ど、どどどど、どうしよう!?間違った?私、間違ったか!?ヤベェ、普通にすればよかった……。)」
心の中で焦る沙羅。