蓮はアリューゼにもう一度頭を下げて、魔里と沙羅を連れて歩いて行った。




「蓮、幸せにね。」




………………………。





……………。





……。






【飛行機内】




「危なかったねぇ〜。」




蓮と沙羅の向かいの席に座る魔里が言う。






「そうだな。アリューゼさんがいなかったら厳しかった。」




隣で眠る沙羅に毛布をかけてあげながら蓮が答える。






「円お姉様に、敵に追いかけられたら空港に行けって言われてたけど、どうして?」





「空港は世界各地から人が来る場所だ。つまり空港での戦闘は世界に向けて宣戦布告しているようなものなんだよ。戦闘したものは全国のブラックリストに名前が乗り、命を狙われるってわけ。だから学生は空港での戦闘は禁止。」





「なるほど〜。」




数回頷きながら、ジュースを飲む魔里。






「この子、注射跡があるね。さっき注射されそうになってたけど。」




魔里は沙羅の右腕にあるアザのようなものを指差す。







「おそらく興奮剤だろう。前に戦ったとき、奇声に直線的な攻撃が目立った。その薬のせいだと思う。」





「あの男、最低だね〜!あそこで殺しといた方がよかったよ!」




口を膨らませながら、魔里が怒る。






「(あいつが西の獅子…。放置するわけにもいかないが、今は龍堂の地盤を固めるべきだな。)」




無名県へ飛ぶ飛行機の中で、蓮は対策を考えた。