沙羅を抱えた魔里が、大雅から逃げて、こちらに走ってきていた。






「チッ。」




蓮は燐を蹴り飛ばし、大雅と魔里達の間に立つ。




キィィィィンと金属がぶつかる音が響く。






「金色の槍?まさかお前が…。」




銀狼で受け止めた大雅の武器は、金色の刃を持つ槍。






「金(きん)晶石から作られた槍、『金剛(こんごう)』。お前の銀狼は対となる銀(ぎん)晶石。色(しょく)晶石の希少色の金と銀がそろうとはな…。」





「お前が『西の獅子(しし)』か…。まさか年下だったとは思わなかった。」




苦笑しながら言う。






「うわぁぁぁぁ!?」




また魔里の悲鳴が聞こえる。





「クッ…。」




「逃がすわけにはいかない。」




大雅が槍を持つ手に力を入れる。





「政府との戦いで力が衰えたと聞いていたが…。まだ俺と渡り合えるとはな。」




「殺してやりたいが、今は後回しだ。」




大雅の槍をいなして、バックステップで離れ、魔里達を両脇に抱えて燐を飛び越えて、空港へ走る。






「チッ。逃がさん!!」




大雅と燐が追いかけようとしたとき、アリューゼが立ちはだかる。





「アリューゼさん!!」




蓮が走りながら後ろを向く。