痛みに耐え、無理に笑いながら沙羅が言う。
「お前を保護する。魔里!今は撤退を優先するぞ!」
「え〜〜!?つまんない!しょ〜がないから、今日のところは、これで勘弁してあげる!」
ビシッと大雅を指差して、魔里は蓮の元へ走る。
「俺が逃がすと思ってるのか?りぃぃぃぃぃぃん!!!」
大雅が叫ぶ。
「裏切り者は死なないとね、沙羅。」
どこにいたのか、長刀を持った燐が蓮達の前に降り立つ。
「バカ娘…。善悪も判断できないくらいバカになったか?」
笑いながら悪態をつきつつも、内心では焦る蓮。
「隊の規律は守らないといけないでしょ?寝返ったヤツを放っておくことなんかできないし。」
燐が長刀を鞘から抜く。その刀身は血のように赤く、鈍く輝く。
「血晶石(けっしょうせき)の刀身。円の『血桜(ちざくら)』か、やはりお前が持っていたか…。」
「パパ、怒ってた?」
「そりゃね…。」
苦笑しながら言う蓮。
「(実際、あれが円の手にあれば、円との戦いは厳しかっただろう…。ある意味、感謝すべきか。それより、この状況をどうする?)」
蓮が考えている間に、燐は刀身を舐める。すると燐の瞳が赤く染まった。
