「沙羅ぁ…。もう一度言ってみろ。」
眉間にシワを寄せた大雅が沙羅を睨みつけながら言う。
「北の…狼に…手を出さな…いで、くださ――――がっ!?」
腹部を押さえながら倒れている沙羅が言い終える前に、大雅が頭を踏みつける。
「それは裏切り行為ってことだとわかってんだろう?」
グリグリと力を込めながら沙羅を踏みつける。
「お願いします!お願いします!」
痛みに耐えながら、沙羅は頼み込む。
「俺達の目標の龍堂を潰すにはあいつを倒すのが早い。それを邪魔するなら、殺すぞ。」
「そ…それで、手を出さないでくれるなら…私はどうなってもいい。」
沙羅の言葉を聞いて、大雅は足をどける。
「お前、家族が見つかったな?」
「ッ!?」
ビクッと、沙羅の体が震える。
「なるほど、神崎蓮に教えてもらったのか。それで恩を返すつもりで俺に頼み込んできたのか。」
「お願いします!!」
土下座する沙羅。見下ろしていた大雅が懐から何かを取り出す。
