「さあ、蓮様。お座りください。」
笑顔でイスを引くユリア。
「…………。」
眉間にシワを寄せながら、蓮は座る。
「かわいい顔が台無しですよ、蓮様。」
アルフォードのグラスにワインを注ぐユリアが蓮を見て言う。
「すないな…元々こういう顔なんだ!」
前菜を食べながら睨みつける蓮。
「嫌ですわ、蓮様。」
ユリアは持っていたワインのボトルを蓮の口に突っ込む。
「むがっ!?…ごくっ…ごくっ…ごくっ…。」
蓮はワインを飲み干してしまう。
「うっ……。」
頬が赤く染まり、凛々しく鋭く上がった目はトロンと垂れる。
「あらま。もしかして…。」
蓮を見たユリアが驚く。
「ああ、蓮は下戸(げこ)だ。」
ワインを飲むアルフォードが言う。
「………ひっく。はむ。」
パクッと主菜を食べる蓮。
「……ぉお?これおいしいにゃ〜。」
『にゃ〜!?』
ユリアを含めたメイド達が声をそろえて言った。
「蓮は酔うと、こうなるんだ。元々猫っぽいからかもしれんが。」
