「いや、初めて会ったときと感じが違いすぎてな。それじゃ、1つだけ。」
「おう!言ってみろ!」
「どうして虎閃に入った?」
ふざけんなともう一度言おうとした沙羅だったが、真剣な顔の蓮を見て、言うのを止めた。
「会長が高校紹介しに私の中学に来た。虎閃は実力主義、強ければ相応の役所につける。家族を捜すのに都合がいいと思ったからだ。」
「そうか、わかった。」
蓮は立ち上がり、沙羅の頭に手を乗せる。
「ありがとう。」
蓮はそのまま歩き去った。
「何が『ありがとう』だよ…。こっちは良くねぇんだよ。必ず借りは返すからな。」
……………………。
……………。
……。
【ヴィストレア邸】
空がオレンジ色に変わり、日が沈みかけている。
蓮が玄関を開けようとしたとき。
バシャン!
水をかぶり、ぐっしょりと服が濡れる。
「すまん。」
ホースを持っていたユリアが言う。
「いや、かまわないよ。シャワーを浴びればいいだけだ。」
蓮はそのまま屋敷に入って行った。
