「ダリぃ〜〜。」
溜め息をつきながら、オープンカフェでカフェオレを飲むのは、虎閃学園の織原沙羅。
「ったく…。買い出しなんてマジでダルい。」
コーヒーを飲み干して、代金をテーブルに置いて店から出ようとしたとき。
「あっ!」
小さな男の子の持っていた風船が空へ飛んでいく。
「ダルい…。」
右袖から鎖を出して、街灯にくくりつけ、鎖を引っ張って飛び上がる。沙羅は風船を掴み取り、男の子の前に着地する。
「ほらよ、もう離すんじゃねぇ〜ぞ、坊主。」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
男の子は嬉しそうに走って行った。その後ろ姿を沙羅は優しい顔で見つめていた。
「そんな顔、できるんだな。」
「北のお―――ッ!?」
声で蓮と判断した沙羅が振り返ると、目の前にリンゴが飛んできており、慌ててキャッチする。
「うまいぞ。」
パキッといい音を立てながらリンゴを食べる蓮がいた。
「何のつもりだテメェ…。」
沙羅は蓮を睨みつけながら、攻撃態勢を取る。
