牛乳と猫スーツ。




翌朝、通勤する人達が道を行き交う中、飲食店である『アルデンテ』は朝食を食べにくる客で賑わっていた。





そこに1人の少女が入ってくる。水色の腰まで伸びた髪、フード付きの白いロングコート着て、首には大型犬が付けていそうな皮の首輪をしている。







「おや、かわいいお客さんだねぇ。何にする?」



店の女将さんが少女に尋ねる。少女は口を開かずに、手を動かす。







「ん?手話かい?ごめんよ、バカな私にゃわからないよ。」




女将さんの言葉に、残念そうにうつむく少女。






「日替わりパスタにトマトサラダだ、女将さん。」




後ろから入ってきた蓮が言う。







「蓮!久しぶりじゃないか!!今日はいつものじゃないのかい?」





「今のは、この女の子の注文だ。私はいつもので頼むよ。」




「そうだったのかい!ごめんよ、お嬢ちゃん。蓮のもすぐ作るからね。」



女将さんは厨房へ入っていく。




蓮が料理を待っていると、スカートの裾を軽く引っ張られる。見ると少女が手話で『ありがとう』と、手を動かしていた。