牛乳と猫スーツ。




2人っきりになった部屋で、蓮はその場に片膝をついて頭を下げる。






「イギリス政府所属・神崎蓮、ただいま参上しました。」




「ああ、元気そうだな。」



「はっ!前国王陛下もお変わりなくて、なによりです。」





「顔を上げてくれ、とうの昔に隠居した年寄りなんぞに頭を下げなくていいと言っておるだろう。」




アルフォードの言葉に、蓮はようやく頭を上げる。






「座ってくれ。」




蓮はアルフォードの向かいのソファーに座る。テーブルには湯気の立つコーヒーと高そうな皿に置かれたクッキーがあった。




蓮は左手でコーヒーのカップを取る。







「相変わらず律儀だな。2人きりになれば、いつもかしこまりおって。」




「あなたが隠せとおっしゃったからです。エリーゼにも隠して…。あの子はもう裏側のことは知っています、今後のためにそろそろ本当のことを話すべきでは?」





コーヒーを飲み、カップをテーブルに戻す。アルフォードは目を閉じて首を横に振った。





「お前の言いたいこともわかる…。心構えは早い方がいい。だが、あの子が背負うべき物が大きすぎる……。」