『わかった、出迎えの準備をしておく。コーヒーとクッキーでいいか?』
「コーヒーはブラック、クッキーはめちゃくちゃ甘いので。」
『ふふふ…。わかっている。』
………………………。
……………。
……。
【ロンドン・ヴィストレア邸】
アルフォードの屋敷に着いたときには空はオレンジ色になっていた。
「相変わらずデカい家だな。」
門の前で見上げながら言う蓮。中世のお城のような家が、そこにあった。
本来なら呼び鈴を押して門を開けてもらって入るべきなのだが、蓮は門を飛び越えて歩いて行く。
ビー!ビー!ビー!
屋敷内にサイレンが鳴り響く。
『侵入者あり。一番から三番隊は、すぐに侵入者を排除せよ。繰り返す、侵入者を排除せよ。』
女性の声が聞こえると同時に屋敷のメイド達が武器を持って、蓮の方へ走ってくる。
すぐに蓮は包囲された。
「私が来るって、じいさんに聞いてるだろ?これで何度目だよ。少しは学習してくれ。」
溜め息を吐きながら言う蓮。
「まったく、学習するのはお前だ。呼び鈴すら押せないのか?」
正面のメイド達が道を開けて、歩いてきたのは、同じメイド服を着たショートカットの金髪の女性。
「久しぶりだな、ユリア。」
「フン。それで、土産は持ってきたんだろうな。昨日メールしたんだから、忘れたとは言わせんぞ。」
