「バレンタインのチョコか。」
「そうデス!お願いするヨ!」
「わかった、渡しておくよ。」
エリーゼからチョコを受け取り、蓮は歩いて行く。
寮から出て、駐輪場まで歩いてきた。
「お館様。」
「零か、どうした?」
後ろを見ると、狐の仮面を付けた零が片膝をついて頭を下げていた。
「お館様に頼まれていた『白銀の髪の女の子』についての報告に。」
「聞かせてくれ。」
真剣な目つきになって、蓮は零の方へ向く。
「はっ!自宅へ連絡し、日本本土を捜索してもらいましたが、発見できず。私も無名県内を捜索しましたが、同じく発見できませんでした。」
「そうか…。」
目を閉じて、何かを考えるように腕を組む蓮。
「ただ、捜索中に耳にしたのですが、虎閃(こせん)学園が復帰したと。」
「あそこは生徒会長が決まらずに、数年前から普通の学園となっていたが…。それで、生徒会長はどんなヤツだ?」
「申し訳ありません、お館様。調査を試みたのですが、警備が厳重で断念しました。」
頭を深く下げる零。
「零でも難しい警備ならしかたないさ。個人的な問題に時間を割いてくれてありがとう。報告感謝する。」
「もったいなきお言葉。」
もう一度、頭を下げて、零は一瞬で姿を消した。
