「そこに偶然通りかかった猟師さん――ガハッ!?」




口をふさごうとして絵本を落とし、しかし間に合わずに彩華の顔に真っ赤な血がかかる。





何が起きたかわからなくて、彩華はただ蓮を見ていた。





「ガハッ!ゴホッ!ゴブッ!?」




蓮が大量の血を吐き出す。その血は絵本を赤く染めていく。





「おねちゃ…?おねちゃ!?」




蓮のつらそうな顔を見て、ようやく大変なことだと気づく彩華。しかしどうすればいいかわからない。





「だ、大丈夫…だからね。お姉ちゃん、大丈夫だから…。」




「しんじゃダメ…。おねちゃダメ!」




彩華の頭の中で、赤ずきんと姉が重なる。





「いや…いや…。やだぁぁぁぁぁぁぁ!??」




このとき彩華の心は深く傷つき、同時に音を立てて壊れた。




………………………。




……………。




……。






「その後、彩華の悲鳴を聞いた菫の母親が駆けつけてくれて、私を病院に連れて行ってくれた。」




「だ、大丈夫だったんですか?」




直樹は驚きながら聞いた。