それと同じタイミングで部屋のドアが勢いよく開いた。
「おねちゃ!これよんで!」
元気いっぱいの笑顔で入ってきたのは、長い銀髪の女の子。蓮の妹、神崎彩華2歳。その手には絵本『赤ずきん』を持っていた。
「はいはい。」
そんな彩華を見て、蓮はまるで母親のような優しい笑顔で絵本を受け取る。彩華は蓮の足を枕にするように横になる。蓮はクスッと笑い、長い髪が邪魔にならないよう、ポニーテールにする。
「わあ〜。あやかもそれにしたい!」
「わかった。それじゃあ、後ろ向いて。」
彩華は蓮の両足の間に座り、髪型をポニーテールにしてもらう。
「はい、できた。」
「おねちゃとおそろい!」
ただ髪型を一緒にしただけで、まるで誕生日にプレゼントをもらったかのように喜ぶ彩華。
「じゃあ、本読むね。」
蓮が絵本を開く。
「あるところに、赤ずきんちゃんという女の子がいました…。」
…………………。
…………。
……。
「赤ずきんちゃんはペロリと、オオカミさんに食べられてしまいました。」
