翌日、鳳凰学園生徒会長の円は南部全高校代表と県内全高校副会長を辞任する。




さらには次の日に、政府のトップが死亡し、指示するものがいなくなったことにより、無名県で長く続いていた戦いが終わる。





蓮達が夢見た、平和な日常が訪れた。だが、その代償は大きすぎた…。





【蓮と彩華の部屋】




戦いが終わって数日が過ぎたある日の朝、ようやく蓮は登校できるようになった。




「姉貴、先に行くからね〜!」




彩華が元気よく部屋を飛び出して行った。






「クロア、鞄投げて。」




鏡を見ながらネクタイを締めて、長い銀色の髪をクシですいていた。





「ニャ。」




いつものことだった、後ろから投げられた鞄を見なくてもキャッチする光景。





そして今日も、ソファーで寝ていたクロアが鞄をくわえて、蓮へ向かって投げる。





「ありが―――」




掴もうとした手が空を切る。そして鞄は床に落ちて、教科書やノートが散乱した。






「まだ本調子じゃないか…。」




蓮は教科書などを拾い鞄に入れて、部屋を出た。





「ニャ……。」




心配そうに鳴くクロアは、主人の異変を感じ取っていた。