『…………ォ…。』
どこかで声が聞こえた。それと同時に地震が起こる。
「会長?」
直樹は走り出した、蓮の元へ。
「直樹!?」
遥が追いかけようとしたとき、床が崩れ落ちる。落ちかけた遥の手をクロが掴み、引き上げる。
「戻らないと、直樹が危ない!」
『ダメです。このまま脱出します。』
「どうして!?直樹が―――」
『この場合、阿部直樹を保護対象から一時除外、あなたと神崎彩華の脱出を優先します。2人の安全を確認後、私が救出に向かいます。』
「見捨てはしないのね?」
『肯定です。』
「わかったわ…。」
遥は直樹が走って行った方を見て、出口へ歩いて行った。
………………。
………。
…。
「驚きました、そのバイクは人工知能が搭載されているんですね。」
間一髪で避けた蓮を見ながら言う。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
蓮はぐったりとバイクに身を任せるように乗っていた。
『心拍数低下、心臓に異常が見られます。危険な状態です、マスター。』
インカムからシロのシステム音声が聞こえる。
『戦闘継続不能と判断します。撤退命令を、マスター。』
「はぁ…はぁ…。あの子達が無事ならいい…。このまま囮にな――ゴホッ!!」
血がバイクにかかる。蓮は力を振り絞り、バイクを下りてロボットへ向かって歩いて行く。
