バイクを止めて、蓮は2人を下ろす。
「待たせたな。」
「会長、その傷…。」
「たいしたことはない。しかし、いつになったら俺は会長を引退できるんだ?」
「すいません、やっぱり一番しっくりする呼び方なんで。」
直樹は未だに蓮を会長と呼んでいた。「蓮でいい。」と言われても、直樹は呼べずに会長と呼んでいる。たまに彩華に怒られるが。
「ありがとな、遥。」
「そんな…私のせいで、あの子がヤツらに…。」
「いいんだよ、今から返してもらうからな。それより、2人は先に逃げろ。」
「でも会長…まだ彩華さんが…。」
「心配すんな、直樹。もうすぐ会えるさ。」
蓮が微笑むのと同時に部屋が揺れる。天井の一部が壊れ、その穴から黒猫スーツが下りてきた。
『神崎彩華を救出しました、マスター。』
「ありがと、クロ。そのまま2人と脱出しろ。」
『了解。』
クロは2人を連れて、直樹達が来た道を歩いて行った。直樹達が部屋を出たのを確認して、蓮はロボットの前に立つ。