「が……っ…。」
男はその場に倒れた。
「どんなに硬い物に身を包んでも、頭に攻撃を与え続ければは衝撃が伝わり脳震盪を起こす。スーツに頼ったあんたの負けだ。」
「強い…。直樹、あなたいつの間に…。」
遥は目を丸くしながら直樹を見ていた。
「さあ、彩華さんを返してくれ。」
「(バカな…私が開発した強化スーツが負けただと?いや、そんなことより…ヤツに鍛えられたとは聞いていたが、短期間にこれほどまでに成長するなんて…。こいつは危険だ、ヤツより…神崎蓮より!!)」
小林は慌ててロボットに乗り込む。起動したロボットは拘束具を強引に外して、前進する。
「止まれ!下に仲間が!!」
直樹の制止を聞かずに、ロボットは男を踏み潰す。
「失敗作に用はない。私は君を侮っていたよ。君は危険だ、必ず政府の強敵になる!その前に殺す!!」
右手をハンマーのように叩きつける。直樹は受け身を取り避ける。しかし、避けた先にロボットの左手が迫っていた。
「がはっ!?」
メキッと右腕が嫌な音を立て、直樹は遥の隣まで吹き飛ぶ。
「まとめて死ね!!」
右手を振りかぶる。遥は無駄とわかりつつ、直樹を庇うように覆い被さる。
ブルルルルルン!!
エンジン音と共に赤いバイクが走ってきて、2人を拾い上げる。ロボットの右手は誰もいない地面を破壊する。
「なっ!?」
小林が驚く。頭に血が上り来ることを忘れていた人物。神崎蓮だった。