「昨日だよ。」
急に声が聞こえて、2人は警戒する。声の主はロボットの肩に乗っていた。
「試作機を奪われて、開発が遅れているって聞いたけど?」
「おや?なかなか詳しいね、君はこちら側の人間かい?」
黒髪で眼鏡をかけ、白衣を着た男が言う。
「ええ、でも彼は違うわ。」
「そうですか。おっと自己紹介がまだでしたね、私は小林悟(こばやし さとる)。政府特別研究員です。」
「どうでもいいわ。神崎彩華を返しなさい。」
グレネードランチャーを小林に向ける。
「怖いお嬢さんですね。話し合いに、そんな物騒な物はいらないでしょう?」
「いきなり発砲してきたのはそっちでしょ。」
「いきなり発砲?そんな命令は出していないんですがね、おそらく軍のバカ共の独断でしょう。」
溜め息混じりに言う小林。
「早く返しなさい。」
「返しますよ。用が済めばね。」
「返さないと本当に怖い人が来るわよ?」
「ええ、知っていますよ。何故なら彼女は、その『怖い人』を誘き出すための餌ですから。」
口を歪めながら答える小林。
「そのための最新型か…。」
「それだけじゃありませんよ。」
パチンと指を鳴らす。すると、奥にあるドアが開く。そこにはSF映画で出てきそうな戦闘スーツを着た人が立っていた。
