「ここは…。」
直樹は見覚えがあった。以前、工事などの事故が連続して起こったとニュースで報道された場所だった。
「前にニュースで見たことある。確か事故で爆発したんだっけ。」
「……………。」
遥は黙って眺めていた。彼女は知っていた。事故ではなく、破壊されたのだと。そして、その犯人を。
「行きましょう。」
2人は研究所の中へ入って行った。中は暗いが、徐々に周りが見えてくる。所々、床や壁、天井が壊れており爆発の焦げた跡がある。その階の使える階段で下へと下りていく。
「まだ下りるのか?もう地下25階だぞ?」
「まだ下よ。ここは政府が使っていた研究所だからね、以前は危険な薬の発明や人体実験をしていたの。だから怖い狼に襲われたってことよ。」
「何なんだ、狼って?」
「あなたのよく知る人のことよ。」
そう言って、遥は階段を下りていく。直樹は首を傾げながら後へ続いた。
【地下40階】
真っ直ぐ続く廊下を2人は歩いていた。
「ちょっと待って。武器庫みたい。」
遥は焦げたドアの前に立ち止まり、中へ入る。
「使えそうな物あるかしら?」
武器を物色する。
「はい、これ持って。」
遥から渡されたのは大きなライフルだった。
「これ…対戦車ライフルじゃないか。」
「それがどうかしたの?」
「戦争でもする気?」
直樹の言葉に遥は溜め息を吐く。
