直樹の頬を短剣で1センチくらいの小さな傷つける。直樹は動揺していて痛みを感じなかった。そして遥は、その傷にキスをして、唇についた血を舐める。
「目の色が…変わっていく。」
遥の黒い瞳が赤く変わっていくことに驚く。
「誰にも渡したくな―――伏せて!!」
いきなり遥かに襟を掴まれ、直樹は膝枕のように遥かの太ももに顔を押さえつけられる。そのとき直樹は見た、映画で出てきそうな装備をした人達が、銃をこちらに向けて走ってきていた。
遥は直樹の銃を拾い上げ、正確な射撃で武装した人達を倒していく。その間、敵の反撃で銃弾を上半身に浴びるが、気にせずに撃っていた。
そして、いきなり装甲車が走ってきて、直樹達の横を走り抜けて十字架の前に止まる。車から数人が出てきて、彩華を車の中へ連れ込む。
「彩華さん!!」
「こいつら、まさか政府の――――ッ!?」
遥は直樹を突き飛ばした。後ろへ飛ばされながら直樹は遥を見ていた。次の瞬間、装甲車に装備されている30㎜機関砲の轟音と共に、遥の上半身がバラバラになるのが見えた。直樹の顔に遥の血がかかる。
「う……っ…。」
口を手で押さえようとしたが吐いてしまった。
装甲車が走り去る。直樹が立ち上がって走ろうとしたとき、腕を掴まれる。
「え?」
「行っちゃダメ!」
遥がいた。今さっきバラバラになったはずの遥が。
「行けばあなたは戦いに巻き込まれる!」
