「危ないから止めろって!」
「こうやって、引き金を引くの。」
ドンッ!!銃声と共に遥はうなだれる。
「あ………。」
遥の行動が理解できなかった。しかし、遥がやったことだが、直樹は人を殺してしまったと放心状態になる。
「フフッ。どうだった?」
いきなり遥が顔を上げる。
「え?なん…で…。」
「あら?まだわかんないかな、ならこれでやりましょ。」
遥は直樹の銃を取り上げて後ろに捨てる。そして短剣を直樹に持たせて自分の胸に突き刺す。
「ッ!?」
「ねぇ、わかる?剣から伝わるでしょ、私の皮、肉、骨、内臓を貫く感触が。」
直樹は答えずに目を見開いて、遥の話を聞いていた。
「直樹は今、私の心臓を突き刺してるのよ。」
短剣から伝わる遥の鼓動。突き刺しているのにもかかわらず、遥の心臓が動いていることに、直樹は驚きよりも恐怖を感じた。剣から手を離そうとしても、遥が上から掴んでいるので離せない。
「んっ!直樹、あんまり動かさないで、感じちゃうじゃない。」
「何を言って……痛くないのか?」
「訓練をするのよ。刺すことにも刺されることにもね。簡単に説明すれば、痛みを快楽に感じられるまで殺し合うの、家族同士でね。」
微笑みながら話す。
「家族…同士。」
