「ッ!?全員そこから離れなさい!!」




蓮の行動を理解した麗花が叫ぶ。その声を聞いた次狼達は一瞬驚くが、すぐに指示に従い離れる。






「何なの?」




円を始め、鳳凰の部隊は困惑していた。






「群狼真空爪牙球(ぐんろうしんくうそうがきゅう)。」





いつの間にか蓮の前には、白い球のような物ができており、蓮はそれを剣の腹で軽く押し、円に向けて飛ばす。






「こんな物!」




円は刀でそれを斬ろうとした。そして刀が白い球に触れた時、白い球が風船のようにパンと割れる。





「がはっ!?」




円は何が起こったのかわからなかった。ただ理解できたのは、いくつもの見えない斬撃が自分を斬り刻んでいることだけ。




さらにその斬撃は円だけではなく、白い球が割れた場所、360度、全方位を攻撃する。地面も川も草も斬り刻む。







「何だあれは…。」





次狼が見たこともない蓮の技に驚く。雪も菫も同じように驚いていた。





「超高速で発生させた真空波を空気の球に包みこむ。衝撃を受ければ球は割れて、その場にいる全てを斬り刻む。群れた狼の爪と牙が襲いかかるように、それが群狼真空爪牙球。本気で手合わせした時、私の氷龍と氷の鎧、さらには竜巻もろとも斬り刻んだ技よ。」




隣に歩いてきた麗花が話す。