「驚くことはないだろう?振動を振動で打ち消しただけだ。」




円の攻撃を受け止め、蓮はそのまま力で円を叩き落とした。落下した場所に土煙が上がり、そこから10本の先に小さな刃がついた細いワイヤーが飛んでくる。




蓮はそれを弾き落としながら、着地する。その瞬間、次は長刀が飛んできて、蓮はギリギリで体を曲げてかわす。





だがギリギリがいけなかった。急に長刀が方向を変え、蓮の右肩に軽い切り傷を作った。





「くっ…。柄尻にワイヤーを付けてたか…。」




砂が付着したワイヤーは日の光に反射せず、蓮は見落としていた。




長刀は一気に引き戻され、土煙が収まる。そこに立っていたのは、瞳が赤く染まった円だった。






「我流、鬼爪(おにづめ)。」




3つの高圧縮された薄い衝撃波が高速で蓮に襲いかかる。





蓮は受け身を取り、衝撃波を避ける。





「どこ見てるの?」




「ッ!?」




「我流、鬼姫血葬(ききけっそう)!!」




一瞬で何十もの斬撃を放つ。蓮は銀狼で防御するも、肩と右足に軽傷を負う。刀についた血を舐めとると、円の瞳がさらに濃い赤へと変わる。






円の能力は身体能力の強化、さらには肉体(特に筋肉)のダメージの回復。脳を刺激してリミッターを外し、普通は出せない力を解放させる。




限界はあるが、それは摂取した適合者の血の量に比例する。