「ダメだ…。逃げろ〜!」



1人が逃げ出すと、それに続いて全員が逃げ始める。






「なんだこの弱さ、素人か?」




誰一人怪我すらすることなく、敵前線を倒した。





「次狼、攻めるなら今よ。」




風紀1番隊隊長である伊織が次狼に言う。





「確かに好機だな。前線が崩れて、ヤツらも陣を組み直しているだろう。全部隊、急いで川を渡り敵を強襲する!!」





『了解!!』




全員が走り出す。そんな中、1人だけ立ったままの者がいた。菫である。菫は普段、部隊を率いてはいない。龍堂の中では蓮の次に強い菫は、単独行動の方が強いからである。






「(あの円が前線に素人を置く?高台と言っても、約5メートル。しかし、私が考えたところで何も思いつかない…。今まで蓮や沙織に頼りすぎていたことを実感するな。だから今は、勝って2人を安心させよう。)」





すでに川の近くまで走っている全員の後を追いかけた。






川幅約4メートル。渡りきるのに時間はかからない。龍堂全部隊が川に入る。そして高台へ行く。





はずだった…。





ゴゴゴゴッ!!!







「なっ!?」




謎の音と共に、急に足が下へ引きずり込まれる。背の高い次狼ですら、太ももの位置まで沈み身動きが取れない状態である。





………………。




………。




…。