「はぁ…はぁ…。遥、もう一度言う。彩華さんは関係ない。君の気持ちに答えられないのは、俺が過去を忘れて大切な人も忘れているからだ。」
「そう。」
背を向けながら遥は呟く。
「なら…戦いましょう。」
「え?」
「私を倒して、あの子を取り返せばいい。」
落ちてきた短剣を取り、振り返り直樹を見る。
「戦えない。君は大切な友達だ。」
「私に負けたら、私と付き合ってね。」
直樹の言葉を無視するように、遥は言う。
「傷つけたくない。」
「あはっ、私に勝つつもり?笑えるわよ、それ。」
腹を抱えて笑い出す遥。
「遥、もう止め―――――ぐっ!?」
腹部に衝撃が走り、直樹は倒れる。
「私を楽しませてね、直樹。」
直樹に馬乗りになって、遥はペロッと唇を舐めた。
………………………。
……………。
……。
【境界線近くの平地】
遠くで大勢の声が聞こえた。
「全部隊、急いで境界線へ向かいなさい!到着後は次狼の指示に従い行動!私達は敵を倒し次第、そちらに向かいます。」
麗花の言葉に反応して、後ろにいた部隊が走り出す。
「逃げちゃダメだよ〜。」
魔由が大剣銃を部隊に向ける。
「させないわ!」
麗花が踏み出そうとしたとき、光を遮(さえぎ)り影が覆(おお)う。