「なぜ…。」
彩華は頭を抱えていた。その理由は簡単、席が教卓の前だからである。
「(これじゃあ直樹くんと話できないよ…。)」
落ち込む彩華を、遥は見ていた。
「(そんなに遠くに離れちゃって、いい気味ね神崎彩華。そこで直樹が私の物になるのを指をくわえて見てなさい。あはははは!!)」
心の中で大笑いする遥。
「遅れてゴメンね〜。ちょっと会議が長引いちゃって。」
『え!?』
黒のスーツを着た教師に、直樹、彩華、真里香、悠斗、遥だけでなく、クラス全員が驚いていた。
「今日から2年1組の担任になりました、新人の柊真里香です。よろしくね〜。」
先日卒業したはずの真由香だった。スーツ姿で大人っぽく、今は無き左腕には上腕義手がつけられている。
「お、お、お姉様!?何で?どうしてぇ〜!?」
真里香が立ち上がって驚く。
「無名県のいくつかの学校には、2年生から選択科目に教育学というものがあってね。難しいけど、それを3年まで続けて最後のテストに合格すると教員免許をもらえるのよ。合格できなくても、推薦で教師専門学校へ行けるの。どう?驚いたかしら?」
生徒全員が一斉に頷く。
「さてと、出席取る前に…目が悪くて席を変えてほしいって人はいる?」
「すみません…。」
真由香の言葉に、1人の生徒が手を挙げる。
「先生、僕は一番前がいいんですけど…。」
手を挙げたのは眼鏡をかけ、太った男子生徒。
