「もう、わがままだなぁ〜。」
残りのたこ焼きを口に放り込み、ステージに上がる。
「ほら、自己紹介しろ。」
スタンドマイクを彩華に譲る。
「どうも〜!神崎蓮の妹、神崎彩華で〜す!直樹く〜ん見えてる?」
右手を大きく振りながら言う。直樹は苦笑いしながら小さく手を振り返した。
「あ!そうそう、さっきのたこ焼きは中庭にある2年1組の屋台で売ってますよ〜!後、私のオススメは―――」
「誰も聞いてないだろ!」
どこからともなく取り出したハリセンで彩華の頭を叩く。
「痛いよ兄貴!」
「漫才するために上がらせたんじゃないんだ。」
蓮は振り返り、菫達に目で合図する。そして演奏を始める。
「え?私は何するの?」
「歌え。」
「えぇぇぇ〜!?歌詞わかんないよ!」
唐突に言われて慌てる彩華。
「大丈夫だ、知ってるよ。目を閉じてリラックスしろ。」
蓮の言った通りに、彩華は目を閉じ、マイクに手を添える。
「君は覚えてるかな?2人出会った日のことを〜。」
歌い始める彩華。
