「ああ〜、そうそう神崎さんの!でも、あなた…。」
「少し色々ありまして。それより直樹のことで聞きたいことが。あいつ、昔の記憶が…。」
「あの子、小学校に上がる前に事故にあってね。それ以前の記憶がね…。」
少し困った表情をしながら話す美奈子。
「そうですか、やっぱり…。」
珍しく、うつむいて悲しそうな顔をする蓮。
「あら〜!これおいしいわね〜。」
顔を上げると、いつの間に買ったのか、美奈子がフランクフルトを食べていた。
「あら?当たりって書いてるわ。もしかして、もう一本かしら?」
「え…ええ、そうです。」
「すいませ〜ん。当たりました〜。」
小走りで店に向かう。
「やれやれ、相変わらずマイペースな人だ。」
「あら〜また当たりよ〜!」
その後も何度も当たりを引き続ける美奈子だった。
「強運も相変わらずか。」
………………………。
……………。
……。
体育館では1年2組の劇のラストシーンが行われていた。
