そして、卒業祭当日。
一般来場者もいるので、龍堂学園はにぎわっていた。
「早いものね、いつの間にか卒業祭…。」
行き交う人達を見ながら真由香は呟いた。
「お姉様〜〜!」
遠くで手を振る真里香と、その隣を歩く悠斗が見えた。
「無邪気な顔しちゃって。」
クスッと笑いながら、真由香は2人の方へ歩いて行った。
【校門付近】
「久しぶりに、お兄ちゃんに会える〜!」
ハイテンションでスキップする黒髪のツインテールの女の子は阿部美樹。
「あらあら、美樹さんは本当に直樹さんが好きなのね〜。」
このニコニコと笑顔を絶やさない、腰まである黒髪のおっとりとした女性は、直樹と美樹の母親で超幸運の持ち主、阿部美奈子(みなこ)である。
「おっ!あれは会長さん!!」
蓮を見つけて、美樹は駆け寄る。
「会長さん、お兄ちゃんはどこですか?」
「直樹なら体育館で劇をしているよ。」
「ありがとうございま〜す!!」
美樹はダッシュで体育館へ向かった。
「あら〜?あなたは…。」
美樹の後を追ってきた美奈子が蓮の顔をじっと見る。
「ごぶさたしています。」
美奈子に頭を下げる。
「誰かに似ているんだけど…。」
「これを。」
1枚の写真を美奈子に渡す。
